第2章  第5原則 社員さんのヤル気・モチベーションの向上
21世紀の経営は社員さんのやる気で決まります。



中小企業が経営に成功するためのには、いろいろな条件があります。
しかし、経営に失敗するには、たった1つの条件があれば十分です。
それは・・・「社員にやる気がない」
この1点で、中小企業はダメになってしまいます。
それほど社員さんのやる気は、経営にとって重要です、だからこそ
中小企業の社長さんは、社員さんの管理に頭を悩ましています。

時代の変化とともに社員さんのモチベーションも、大きく変化しています。

新しい時代の社員さんのモチベーションは昔と全く違います。
現在から今後、給料の額はモチベーションを高める要因は減少していきます。
何が社員さんのモチベーションを上げることができるのでしょうか。
現在の中小企業の制度では、社員さんのモチベーションは上がりません。
この就職難の時代、せっかく入った会社もなぜ、3年でやめてしますのでしょうか。



      経営において人を管理する根本的な間違い


世間には、本当にたくさんの経営に関する書籍が、発行されています。
また、各地で偉い先生が、経営セミナーを開催しています。
社長さんもまた、多くの経営関連の書籍を読んだり、セミナーへ出席した経験が
おありでしょう。

こんな感じの書籍やセミナーへ
「絶対に売り上げが上がる3つの方法」
「経営計画が会社を救う」
「速攻 90日間経営改善計画」
「こうすれば組織管理がうまくいく」等々

統計によりますと、起業から5年で80%の会社が倒産や廃業や自然消滅をしています。
2010年の中小企業の税務申告では、76%の企業がなんと赤字決算です。
これほどの経営成功書籍が出ているのに、何で大半の中小企業経営は、
うまくいかないんでしょうか。
これらの経営に関する書籍や、セミナーは確かにすばらしいノウハウや、テクニックを
教えているものも多くあります。
しかし、経営の根本のもっとも重要な「社員のやる気」について、解決ができていない
ために、いくら素晴らしいノウハウや、テクニックを持ってきても、経営がうまくいかないんです。

経営学は、人間に対して絶対的な原則を持っています。
それは・・・・「人間は、予測可能で規律を守り、合理的行動する。」という原則です。
私たちは、本当に合理的で、規律正しく動いているんでしょうか。

心理学の原則はこの考え方と、真反対の立場をとっています。
それは・・・・「人間は怠慢で、自己中心的に目先の欲望で行動する。」

私たちは、本音のところ、自分の欲望を満たすことが先決で動くんではないでしょうか。
社長さんは、どちらの説をとりますか。
どちらの説をとるかで、経営の仕組みが変わってしまいます。
ほとんどの経営書籍やセミナーは、「人間は、予測可能で規律を守り、合理的行動する。」
という前提に立っています。
ですから、経営の書籍やセミナーで学んだノウハウを導入したり、目標を設定すると、
社員さんはそのノウハウを学び、目標に向かって合理的で規律正しく行動すること
になるはずです。
そして経営は、とてもうまくいって万々歳ということなんでしょう。

はっきり言います。

中小企業にそんなノウハウやテクニックを導入しても、そのことを進んで理解ようとし、
合理的で規律正しく行動する社員さんは一人もいません。一人もです。
これらのノウハウやテクニックの導入の前提は、社長さんが

     「わが社をよくするために、何をなすべきか」です。

ですからビジョンや、目標が会社のためのものになってしまいます。
そして社長さんも力説します。「我が社が良くなれば、みんなの将来もよくなるんだ。」と。
会社がよくなることで、社員さんもよくなるという順序です。
しかし、中小企業の社員さんはそんなことは信じないし、しらけています。
どうせそんなに大きな利益なんて出ないだろうし、もし利益が出たとしても

利益の配分は、
1、社長や親族への配分、 
2、銀行返済、 
3、社長の車がよくなる 
4、それでも残れば税金や社内留保、そしてここまでの利益の使い方の後に、
運良く少しでも利益が残れば、やっと社員へ還元されるかな、といった程度しか
考えていません。

この「人間は、予測可能で規律を守り、合理的行動する。」という説をとる経営は、
すべての出発点が、「会社の利益」になっていることに注目してください。
じつは、人間は本来怠け者で、自己本位の目先の欲望で動く生き物なんです。
これは、私たちの脳の仕組み上、やむを得ないことなんです。
後ほど、この脳の仕組みは解説いたします。

     ですから、社員さんは、会社の利益では動きません。

「人間は怠慢で、自己中心的に目先の欲望で行動する。」という前提に立ったとき
社員さんの利益や幸せを優先する仕組みがなければ、やる気度は上がらないこと
を理解します。
仕組みは、社員さんをよくすることで、会社もよくなる。この順序になります。
ですから社員さんの利益と、会社の利益がリンクする仕組み作りが、社員さんの
やる気の向上に無くてはならない根本的な仕組みです。

私が提唱し、多くの企業が導入して成果を出している
「6か月経営計画スペシャルプログラム」があります。
この中で、「利益報奨金制度」として、社員さんの利益と、会社の利益がリンクする
仕組みを実践しています。
概要としましては、社員さんに半期の「利益報奨額(社員さんが希望する半期ボーナス額)」
を出してもらい、そこから逆算した売上利益計画を策定していきます。
詳細は、第1章第3ステップ「経営計画を導入して経営基盤を強くする」で詳しく
解説していきます。


      脳が行動をつかさどる2つの機能の解説


人間はその行動を司どる脳が、大きく分けて2つあります。

1、大脳辺縁系

原始的な欲求行動をつかさどる脳で、人間の本能行動や情動の重要な役割を
担っている脳
2本足直立歩行をした私たち先祖である人類の起源は、約600万年と言われています。
近年になってからの時間は、約3000年くらいでしょうか。
5,997,000年間は原始の時代だったわけです。
この原始の時代から現在までの時間において、人間が論理的な思考を要求された時代は、
近年になってからです。
その前の5,997,000年間の原始の時代とは、目先的な欲求を満足させ、本能に従い
生きていくことが、生存のためのベストな生き方でした。
原始時代の環境には、猛獣はうろうろしていたでしょうし、毒蛇や毒虫などがいて、
非常に危険が多かった世界です。
ですから原始人は一定の安全の範囲で行動すること、変化をしないことが、身の
安全を守る方策でした。

また、原始人が現代人のように、健康を考え「ダイエット」しようとか、
女性に関して「お互いの性格を知るまで」セックスをしないとか、ちょっと
「気分転換」のために散歩でもしよう、などと言っていたら、きっと人類は
滅亡していたことでしょう。
この本能で行動し、現状維持をすることで私たちの先祖は、生存を確保し、
子孫を残してきたわけです。
この本能で生きることが、長い原始の間に脳の大脳辺縁系に刻み込まれてきました。
そして、人間を行動に駆り立てる95%の要因は、大脳辺縁系によって行われます。
大脳辺縁系は本能欲求ですので、私たちのほとんどの欲求行動は、自己の利益を
最優先にします。

これは人間の本能の機能ですので変えようがありません。

ですから「人間は本来怠け者で、自己本位の目先の欲望で動く」と考えて、経営に
当たらなければ社員さんのやる気度の向上はありません。

2、大脳新皮質 (前頭葉 前頭前野)

理性の場と言われ、脳の高次機能をつかさどる、比較的新しく発達してきた脳です。
下等動物は小さく未発達で、高等動物にならばなるほど発達しています。
この脳は、人間性を高めよう、自らが進化成長しよう、人のためになることをしよう
といった、他の動物にはあまり見られない理性的な行動の指令を出す脳です。
この脳によって駆り立てられる行動「人間は、合理的で規律正しく行動する」
思考の5%程度です。
私たちの日常の行動のほとんどは本能で行動しています。

会社のビジョンや我が社の方針という「会社の利益」を前面に出しても、
社長さんでしたらご理解できると思いますが、社員さんのやる気度の向上は期待
できないということです。
ですから「人間は、合理的で規律正しく行動する」という前提で経営にあたっても、
経営に成功するための絶対条件とされる「社員さんのやる気度」の向上がないため、
社長さんがどっかで学んできた経営ノウハウやクニックを持ってきても経営は
うまくいきません。


      社員さんのやる気を上げる3つの原則


会社経営の成功は、会社全体としての目標を設定し、方針を共有し役割を分担と
責任を持って進めなければうまくいきません。
ただ大脳辺縁系の本能を刺激して社員さんにやる気を出してもらっても、
ばらばらな行動をしていたんでは、目標達成どころか会社が傾きます。
ですから大脳辺縁系で本能的なやる気を出してもらい、大脳新皮質・前頭前野で
理性的に行動してもらわなければなりません。
ですから経営が難しんです。

       社員さんにやる気を出させる成功経営の原則的概要

1.自発的に動き出す仕組みを作る

自分たちの利益になることであれば、他からの圧力、強制ではなく積極的意思を
持った行動をとる。
自分たちの利益になる仕組みとは
   ① 物理的要因  経営が公開され、利益にリンクした収入のとれる仕組み  
               利益報奨制度の導入
   ② 精神的要因  やったことを認められ、評価され、褒められる仕組み 
               評価表彰制度の導入

2.自律的に決める仕組みを作る

自分たちで目標とルールを決め、計画すればその計画とルールに沿った行動をとる。
自分たちで目標を決める仕組みとは
① 目標の設定 自分たちが目標とする、利益報奨額を出す売上利益計画
② 計画の策定 売上利益計画達成のための、計画の策定
③ ルールの導入    計画達成のためのルールを作る 

3.自主的に行動する仕組みを作る

自分たちの利益になり、自分たちで決めれば、自分たちが主人公になって行動する。
目標達成のための業務運営管理体系の仕組みとは
① 月間計画行動 月間の実行計画を作る
② ウイークリー管理体系  ウイークリーでP-D-C-Aのサイクルを回す
③ ウイークリースケジュールとその日の行動スケジュールを作る
社員さんのやる気を上げる3つの原則の仕組みに関しましては、映像コンテンツと
必要シートのダウンロードサービスで詳細に解説していきます。